――スピード勝負から“タイミング勝負”のプレーヤーへ
こんにちは。GIVE AND GOの山城拓馬です。
スクールやクリニックで1on1の相談を受けると、よくこんな声を聞きます。
「全力でドライブしてるのに、全然抜けないんです…」
「スピードには自信があるのに、ディフェンスに読まれます」僕自身も、学生〜プロ時代を通して「ドリブルはつけるのに抜けない」時期がありました。
現在はGIVE AND GOバスケットボールスクールで小中学生を中心に指導しながら、PGの育成に力を入れています。
ここでポイントになるのが、今日のテーマである
「間(ま)」=タイミング・リズムのコントロールです。
- どれだけ足が速くても
- どれだけドリブルスキルが高くても
「間」をコントロールできないと、ディフェンスは怖がってくれません。
逆に言えば、
スピードや体格で劣っていても、「間」を使える選手は1on1でしっかり勝負できます。
この記事では、
- 1on1で差がつく「間」とは何か
- 今日から意識できる3つのポイント
- 練習にそのまま使える簡単ドリル例
を、小・中学生〜高校生ポイントガードに向けてわかりやすくまとめて、今日から練習に取り入れられる具体的なドリルを紹介します。
コーチや保護者の方にも、声かけやメニュー作りのヒントとして使ってもらえたら嬉しいです。
1on1で差がつく「間(ま)」とは?
スピードだけでは抜けない理由
多くの選手が「1on1=スピード勝負」と考えがちですが、
実際のゲームでは、ただ速いだけではディフェンスを振り切れません。
なぜかというと、ディフェンスも
- 選手のスピードに慣れてくる
- 右か左か、だいたいのパターンを読んでくる
- 「このタイミングで来るな」と予測を立ててくる
からです。
ずっと同じリズム、同じ速さでアタックしてくる選手は、
ディフェンスからすると「合わせやすい」「怖くない」存在になります。
中学生の1on1でよくある3つの失敗パターン
- 最初から最後まで全力ドライブ
- ずっとトップスピードで仕掛けて、最後は体をぶつけられて止まるパターン。
- 技の連続で“タイミングゼロ”
- クロス → バック → インアウト…と、
テクニックは多いのに、「抜きに行く瞬間」がはっきりしないパターン。
- クロス → バック → インアウト…と、
- フェイクはするけど、スピードが変わらない
- ショットフェイクや目線のフェイクは入るけど、
足のスピードが変わらないから、ディフェンスが引っかからないパターン。
- ショットフェイクや目線のフェイクは入るけど、
これらに共通しているのは、
「間」=減速・ストップ・タイミングのズレが少ない
ということです。
PGほど「間」を使えると武器になる
ポイントガードやボールを持つ時間が長い選手は、
- 1on1で1人抜けるか
- ピック&ロールで1人止められるか
で、オフェンス全体の“苦しさ”が大きく変わります。
だからこそ、
スピード勝負だけの1on1から、「間」をコントロールしてディフェンスをズラす1on1へ。
ここから3つのポイントに分けて解説していきます。
準備中:「PG向けの『抜けるドリブル』メニューと組み合わせるのもおすすめ」
ポイント① 減速でディフェンスのリズムを崩す
フルスピードドライブの限界
全力でドライブし続けると、
ディフェンスも早い段階で「このスピードか」と慣れてしまいます。
また、オフェンス側も
- 視野が狭くなる
- 止まりづらくなる
- 次のプレー(パス・シュート)に余裕が持てない
というデメリットが出てきます。
ここで大事なのが、
「ゆっくり → ちょい速 → 一気に」 というリズムの変化です。
減速を入れるだけで生まれる“ズレ”
ドライブの中に、一瞬の**減速(スロー)**を挟むだけで、
- ディフェンスは「来ないのかな?」と足が止まる
- その瞬間に再加速すると、半歩〜1歩の差が生まれる
という状態をつくりやすくなります。
この“半歩のズレ”が、
- レイアップまで行けるのか
- ヘルプを引き出せるのか
を分けることになります。
練習ドリル例:サイドドリブル+減速→加速
チェンジオブペース・サイドドリブル
- 3ポイントラインの延長線上にスタート位置を取る
- サイド方向にドリブルで移動
- 最初の3歩:ゆっくり
- 次の3歩:少し速く
- 最後の3歩:一気に加速
- 方向を変えるタイミングで、クロスオーバー or インアウトを入れる
- 右方向・左方向それぞれ10本ずつ
ここでのポイントは、
- 足のリズムを先に決めてからドリブルをつく
- 「速く」よりも「変える」ことを意識する
の2つです。
ポイント② ストップ&ゴーで“止まる勇気”をつくる
止まれる選手は抜ける選手
1on1で強い選手の多くは、
「止まる」動きがとても上手いです。
- ゴールへ突っ込むだけでなく、
- 一度ピタッとストップして、
- そこから再スタートできる
この「ストップ&ゴー」の動きがあると、ディフェンスは
「このまま来るのか、止まるのか、また行くのか…」
と迷いやすくなります。
ジャンプストップとストライドストップ
止まり方にも種類がありますが、まずはこの2つを整理しましょう。
- ジャンプストップ
両足同時に着地して止まるストップ。
シュートにも、パスにも、ドライブにも展開しやすい。 - ストライドストップ
一歩大きく踏み出して止まるストップ。
その足を軸にして、次の一歩を出しやすい。
どちらも、「止まった瞬間の目線」がとても大事です。
- ボールを見てしまう → ディフェンスが楽になる
- リングや味方を見ている → ディフェンスが迷う
練習ドリル例:ストップ→シュート/ドライブの2択
- 45度の位置からリング方向へドライブ
- 2〜3ドリブル目でジャンプストップ or ストライドストップ
- コーチの合図 or 自分で決めたルールに応じて
- シュート
- もう一度ドライブ(逆方向でもOK)
- 左右それぞれ10本ずつ
バリエーション:
- 「シュートは2本連続で決めるまで終わらない」
- 「2回以上同じ選択はしない(シュート→次はドライブなど)」
といったルールを入れると、
**判断を伴う“止まる練習”**になります。
動画:プルアップドリル
ポイント③ 目線とフェイクで時間差を生み出す
「見る」だけでディフェンスは反応する
ディフェンスは、オフェンスの
- 足
- 肩・胸
- ボール
- 目線
を見て、次のプレーを予測しています。
特に、目線の情報はとても大きく、
- リングを見た → シュートが来るかも
- コーナーを見た → パスが来るかも
と、ディフェンスが勝手に“準備”し始めます。
この一瞬の「準備」が、
オフェンスにとっては**“間”=時間差**になります。
目線フェイクと体の向きをセットで使う
よくあるミスは、
- 目線だけ動くけど、体や足の向きが変わらない
- フェイクが「わざとらしく」なってしまう
パターンです。
そうならないために、
- 目線 → 肩 → 足の向き
のどれか1つだけではなく、
「目線+少しだけ体の向きも変える」
というセットで使うのがポイント。
練習ドリル例:目線を使ったキャッチアンドドライブ
- 45度の位置でパスをキャッチ
- キャッチした瞬間に、まずリングを見る(本物のシュートのように)
- そこからコーナー方向に目線を移しながら、逆方向にドライブ
- 右側・左側どちらも練習する
このときコーチやチームメイトに、
「今どこを見ていたように感じた?」と聞いてみると、
フェイクが相手にどう伝わっているかチェックできます。
「間」を身につけるための練習メニュー例
ここまでの3つのポイントを、
1回の練習の中でどう組み込むかのイメージです。
ウォームアップ:リズム変化ドリブル
- サイドドリブル+減速→加速(ポイント①)
- PG向けの「抜けるドリブル」メニューと組み合わせるのもおすすめ
まずは足とリズムの準備を整えます。
2対0コンビネーション(間を共有する)
- ボールマン+シューターで2人組
- ボールマンが「止まる」「減速する」タイミングに合わせて
シューターがスポットを変える、スリップするなどの動き
→ 「ボールマンの間」が、味方の動きにも関わってくる感覚を養えます。
制限付き1on1
- ルール例
- ドライブは2ドリブルまで
- 最初のドライブは必ず一度減速を入れる
- 1回は必ずストップを使う
など、「スピードで抜く」以外の条件をつけることで、
自然と“間”を使わざるをえない1on1になります。
まとめ:スピード勝負から、「間」を操るプレーヤーへ
もう一度、1on1で差がつく「間(ま)」を整理しておきます。
- 減速でディフェンスのリズムを崩す
- 「ゆっくり → ちょい速 → 一気に」のリズムを身につけよう。
- ストップ&ゴーで“止まる勇気”をつくる
- 止まれる選手は、次の一手を選べる選手。
- 目線とフェイクで時間差を生み出す
- 見る方向と体の向きで、ディフェンスの準備をずらそう。
1on1は、
「どれだけ速いか」よりも
**「どのタイミングで仕掛けるか」**で大きく変わります。
今日の練習から、
- 1本だけでもいいから“減速”を入れてみる
- 1回だけでもいいから“ストップ”からプレーを始めてみる
- 1ポゼッションだけでもいいから“目線”を意識してみる
そんな、小さなチャレンジから始めてみてください。
GIVE AND GOのスクールやクリニックでも、
実際のゲームや1on1の中で、この「間の使い方」を一緒に練習しています。
「スピードで勝てないから…」
とあきらめるのではなく、
“間を操るプレーヤー”としての1on1を、一緒に育てていきましょう。
「PG記事関連」
記事準備中:PGドリブル3ステップ記事
「ハンドリングの土台を上げたい人はこちらの記事もおすすめです」
ボールハンドリングとチャレンジの力でバスケがもっと楽しく上手になる!
ボールハンドリングチャレンジ:小・中学生向け
▶ GIVE AND GOスクールのご案内

GIVE AND GOでは、沖縄を拠点に小学生〜中学生を中心としたバスケットボールスクールを開催しています。
1on1やドリブル、判断力アップなど、今回の記事で紹介したような内容を「実際のプレー」の中で一緒に磨いていきます。
- 基礎からゲームで使えるスキルまで学びたい選手
- ポイントガードとして一歩レベルアップしたい選手
- 指導や声かけのヒントを知りたい保護者・コーチの方
体験・見学のお申し込みやスケジュールの確認は、下記からご覧いただけます。


コメント